zinichiはこれまで1/4サイズの様々なX680x0ケースなどを作ってきましたが、
満を持して販売促進用のPOPを作ってみたというお話です。
目次
ことの発端
店頭でX680x0が販売されていた頃、九十九電機などにX68000やX68030と書かれた
POPが飾ってありました。
黒地に白文字と反射ミラーで連なったロゴにシビれましたが、販売していたことを知らなかったため、
入手方法が思いつかず「ほしいなぁ」とただただ指をくわえるしかありませんでした。
(数年前にLED搭載のレプリカがBEEPさんにて販売されましたが、フルサイズはスペース的に厳しく、手が出ませんでした)
2020年の3月に着手し2ヶ月ほど頑張ったものの、当時クラフトを始めたばかりだったためか、品質に満足できず挫折。
色々なものを作る中で、作業精度が高くなった今こそ、リベンジを果たすべくチャレンジしたというお話です。
なお、POP制作を行うにあたりインターネットを調べたところ、G.I.M.I.C.という音源システムのサイズに合わせてX68000ケースやこのPOPを作っている方のブログを拝見しました。
実のところ、こちらの方のブログを拝見するまでは、ハーフミラーで処理されていたことすら
記憶になかったわけですが、その再現力に舌を巻きつつ、作り方の参考にさせていただきました。
ひとり作戦会議
およそ1年越しのプロジェクト、
当時のメモを元に課題を読み解くと、つまるところ下記の通り。
1:3Dプリントモデルへの組み込みが難解
2:LEDの固定ができない
3:アクリル板のカット精度が低い
4:カッティングシートをうまく扱えない
5:ロゴの反射処理が再現できていない
2020年の活動を通じて1と2はなんとかなりそうで、3と4は改めて頑張るしかない。
しかし、5については未だどうしたものか、解決策が見いだせていませんでした。
参考にさせていただいたブログの通り作ってみたものの、当時のロゴの反射回数が1回程度。
光の強さを調整してみましたが、昔見た「本物」の反射には到達及びません。

どうしたものか…と、我が家の洗面所にある三面鏡で寝癖を直していたところ、あることに気が付きました。
合わせ鏡は永遠に続くけど、なんでうちのPOPは反射が連続しないのだろう?
ひょっとしてハーフミラーによる反射は効率が悪いのか??
そんなふうに思いました。
わかりにくい説明ですみませんが、つまりこういうこと。
元の制作物は、内側のアクリル板にロゴシートを貼り付け、その上にマジックミラーシートを貼りつけて、外側のハーフミラーと反射させていました。
なので、ハーフミラー同士の反射となっていたわけです。
内側のアクリル板をミラーにしてあげることで、反射回数を増やすことができるのではないか?
前回の制作時にzえもんさんからStikaを頂いていたので、ミラーシートを使えばロゴも再現できるであろう、と。
ということで、東急ハンズにて早速の調達です。(AMAZONの配達を待てないせっかちな子)
CADデータの制作
およそ1年後しのプロジェクト。
データを呼び出すも、なんともまぁ無駄に分厚い壁や過剰に広いスペースなど、
アクリル板のカット精度や3Dプリンタの性能を信用していないデータだこと(汗
あの当時はアクリル板をミリ単位でカットできる気がしなかったため、非常におおらかな設計でしたが、今回は0.5ミリ程度までの誤差を目指すことに。
データの修正もそれを前提として作り直しました。
また、前回はスライドスイッチを内蔵しつつ、3Dプリンターパーツは上下2つのパーツ構成でした。
この場合下側への組み込み難易度が非常に高かったため、今回は下、上それぞれ2パーツとしました。

アクリル板のカット
今回は3mm厚で乳白色のアクリル板と、同じ厚さのハーフミラーのアクリル板を使いました。
こちらは当時ツイッター上で知りあった(@RippleLaser)様より頂いたものです。
ハーフミラーのアクリル板はとても高価なので、本当にありがたいです。
今回は20×83サイズの乳白色とハーフミラーを2枚ずつ
15×83と16.5×83の乳白色を1枚ずつ、それぞれカットしました。
手先の器用さが向上していたようで、誤差は0.3mm以内でした。
いえーい!

今回はご厚意に甘えハーフミラーのアクリルが使えましたが、
透明のアクリル板の内側にハーフミラーシートを貼ることで、外側のハーフミラーアクリルを表現することができます(旧制作時はこのやり方をしていました)
このとき、アクリル板にスプレーのりを付けて貼り付けると安定しますが、気泡はきっちり抜いてください。
アクリル板のカットにはアクリルカッターなるものを使います。
100均にもあるそうですが、刃物はちゃんとしたものを使わないと、作業そのものの難易度があがったり、断面が汚くなったりするので、ケチケチしないようにしましょう。
アクリル板のカットは、ツイッターで知り合いになりました(@gc_mini)さんにコツをおしえていただきました。
この方はアクリル板を使って、実際に遊べるゲーム筐体を制作を作られている方です。
実際に見せていただいたことがありますが、格闘ゲームがバッチリ遊べるものなだけあって、非常に頑丈な逸品を作る方です。
アクリルをきれいに切るコツは、力を入れ過ぎずに丁寧に何度もカッターを這わすことで傷を深める、とのことです。
また、カッターマットはすぐにだめになってしまうので、ベニヤ板を敷きましょう、とのことでした。
(ベニヤ板のアドバイスを頂く前に、マットの片面をダメにしてしまっていたのは秘密ですw)
カッティングシートを扱う
あちこちで使っているロゴデータは、奥さんにイラストレーター用のデータを起こしてもらっています。
これをRolandのCutStudioというツールで読み込んでサイズを調整します。
CAD上のモデルデータにてサイズを図ると縦75mm程度でよさそう。

Stikaで扱えるサイズにカットし、ロゴをカットしました。

ロゴ部分はアクリル板の乳白色を使うため、ロゴ部分を取り外します。
これをアクリルへ貼り付けるわけですが、外周以外がずれないように貼り付けるために
表面全体ににマスキングテープを貼って、オフセットの狂いが出ないようにしたうえでアクリルへ貼り付けます。

アクリルとロゴパートはこれでおk
光の導き方
3Dの出力物の上下にLEDを取り付けますが、単に取り付けるだけだと上下に光が偏ります。
実物のPOPには蛍光灯が入っており、上から下までまんべんなく光らせています。
(LED版はどうなっているか不明、どなたか教えてくださーい)
ここまで本物志向を目指すからには、きちんと表現してあげたくなるのが人情です。
ということで、アクリルの棒の出番です。
透明なアクリルの棒にLEDを当てると、反対側の切り口へ光を導きますが、
表面に傷をつけると、切り口以外にも光を放つようになります。
この原理を利用するということです。
よく切れるニッパーで5mmの丸棒を85mmにカットして、紙やすります。
こいつを支柱としてアクリルパーツを立てていきます。


アクリルへの傷つけが目的なので、荒い番手のものを使いました。
100均のものでも良いと思います。
電子工作
元々は5VのUSBケーブル駆動としていたため、+側には抵抗を付けていましたが
そんなにずっと光らせないだろう、ということでボタン電池駆動に。
単に電池ボックスから2分配して結線しているだけですが、スッキリしました。
上下のモデルには線を這わすための穴が開けました。
線のシルエットが映るかな、と心配しましたが杞憂でした。



どんどん組み立てていきます。

そして完成!
アクリル板をはめ込み、上蓋をかぶせ、土台は接着剤で固定することで完成です。

普段使っている接着剤です、安価でPLAでの出力物にも有効です。
今回は秋月電子の電池ボックスを使いました。
スイッチ・オン!
電源を入れることでロゴが浮き出し、また数層に反射も表現できてばっちり!



1/4サイズのミニチュアたちに並べると、その良さが際立ちます!

あとがき
今回はこのような作り方をしてみました。
3Dプリンターとプロッタをお持ちの方は少ないと思いますが、
そこさえクリアしてしまえば、わりと簡単に作れるような気がします。
挑戦してみたいという方で、STLデータがほしいという方はツイッターまでDMください。
実はこのあと1/2サイズのPOPも作りました。(というか1/4も作り直しました)
こちらはアクリルのカットとレーザー彫刻をホームセンターの機械でカットしましたが、
機械の操作に追われてしまい、肝心のカット時の写真がありません。
いずれ機会があったら投稿したいと思います。
おしまい