目次
ことの発端
最近私のTLや広告から、ハイエンドなキーボードの新商品の案内が良く見かけます。
秋葉原にはカスタムキーボードのショップもあって、「最近はキーボードが流行りで、とうとう自分好みにカスタマイズ時代になったか~」とぼんやり思ってました。
ふゆきにとってこれまでの生涯で一番思い入れのあるキーボードはX68000のもので、ZUIKIさんのキーボードは魅力的だと思ったものの、常用するにはデスクスペースを取りすぎるため、見送りました。
そんな中、以前より良くしていただいている katsuemon(@katsuemon_z80)さんから、CompactXVI配列のUSBキーボード「CompyX」を作っていると聞きまして、無理を言って分けていただきました!
最初は基板を組立てて、間に合せで買ったキーキャップをつけておしまい、のつもりでしたが、いかんせん色からなにまで「キー配列以外」は別物でした。
これは3Dプリンタの出番や! ということで茨の道へ。。。
今回はキーキャップ、外装を担当させていただきました。
CompyXのキットに関する説明は こちら を御覧ください。
デザインの紹介

CompactXVI配列と聞いたら外装も似せるよね、ということでこう仕上げました。
まさか私が外装を制作するとは思っていなかったようで、汎用キーキャップが取り付けでき、かつ、CompactXVIのキーボードに極力近づけたレイアウトとされていました。
そのため、主にBSから右SHIFTまでの縦1列のスペースがCompactとは異なるため、若干キーキャップのデザインを変更しています。
このキーボードを制作するにあたり、なんでも持ってるasayanさん(@asahara420316)から実物のキーボードをお借りしました。
この場を借りてお礼を申し上げます!
キーキャップ

外装はブラックとグレーによるツートンカラーとして再現。
X68000のキーボードには5種類の傾斜をもったキーキャップが採用されていますが、当然ながら再現しました。
素材はABSレジンを採用し「壊すようなことをしない」限り割れるといったことはありません。
ファンクションキーとフォント

X68000のファンクションキーといえば「これ」でしょう。
オリジナルでキーキャップを作るなら、絶対に外せませんね。
ちゃんと高さも再現しました。
CompactXVIキーボードのフォントはツインタワーキーボードとは異なり、かつイタリックが採用されています。
ずいぶん同じフォントを探しましたが、これはいくつかのフォントをピックアップして、かつ、適宜手を加えるような手段を取っているようです。
同じフォントを採用することが出来ないため、当キーボードではおおむね「それっぽく」表現しています。(結構な数のフォントをCADでスケッチしたりしました)
ホームポジションキー

X68000のホームポジションにはポッチなどついておらず、他と比べくぼみが深いのが正しいです。
たった0.5mmだけ深くしていますが、指を乗せた時の感じが全く変わります。
ちゃんとそれも再現しました。
チルト


正直これが再現できるとは思いませんでしたが、チルト機能も対応しました。
私的には「カチッ」と音を出したかったのですが、スタンドの厚みが影響してか、どうしても良い音が鳴りませんでした。
クリアランスが少ないので、今回は我慢です。
ガスケット固定

ナウいキーボードは基板をフレームへ直接ネジ止めするのではなく、基板とフレームをクッション材で挟む方式だとのことで、真似っ子してみました。
確かに「カチャカチャ」という打鍵感が「カタカタ」に変わりました。
実機のキーボードとよく似た打ち心地ですが、音の響きが収まったことで、とても高そうに感じます。
打鍵感はこんな感じです。
今日はキーボードのフレームと基板の固定の仕方による打鍵音の違いを教えちゃうぞ〜😃
— ふゆき@パンタロン (@zinfyk) April 24, 2024
1:なにもなし
2:ガスケット固定(EVA)
3:ガスケット固定(エラストマー)
一番感じがいいのはエラストマー
プラシーボかも🤔 pic.twitter.com/4hHEPKhOP6
ウワサのX68000ロゴ

ロゴ部にはヘルメッツさんが販売していた30周年アニバーサリーピンバッチを取り付けることが出来るようにしました。
スペースの関係でピンの固定はできませんが、こういうギミックは喜ばれます。
皆さん持っているでしょ?
持っていない方むけに、目隠し用のロゴシルエットパーツを取り付けることも可能です。
スペックの紹介
PCB

外装なくてもええんやないか? と思うくらい美しいPCBです。
剛性を高めるためのトッププレートとの2枚構成です。
CompactXVIと同じ、96キーで構成されています。
ProMicroとQMKファームウエアを採用することで、カスタマイズ性を向上しています。
インターフェイス

Type-C対応版のProMicroを採用しているため、抜き差ししやすいです!
キースイッチ
CherryMX仕様のキースイッチを利用することができるため、自由度がとても高いです。
ただし、ファンクションキーについては、CherryMXのロープロ仕様のスイッチが必要です。
モードとステータスの表示

このキーボードは、PC配列とX68000配列を備えており、COPYキーを素早く2回押すことで、簡単に切替えが可能でです。
katsuemonさん曰く「普段使いできつつも、xm6gやXEiJなどのエミュレータを使う時に不足無いキーの数を満たし、配列をPCとx68kとで即座に切り替えられる」ことを目標とされ、設計されたそうです。
OLEDには現在のモードの他に「各種キーのON/OFF」状態を確認することができます。
単色ではありますが、ちょっとした画像を表示することもできます。
(2024/6/11加筆)X68000Zへ接続したときの動作は、少なくともZとCompyXのLEDに関する通信を対応していないため、正しく動作しません。
将来的に解決する可能性はゼロではありませんが、原則未対応としております。
なお、キーそのものの入力については、68モードとして同じMAPを採用しているため、正しく入力出来る想定です。
ファームウエア、キーマップ、画像の更新
QMKファームウエアを採用しているため、各自でお好きなようにビルドすることも出来ますし、WebUIをつかってのキーマップの変更も可能です。
自分でビルドする場合は、好きな画像を登録することができるとか出来ないとか・・・
ファームウエアのビルド、キーマップの更新などは、それぞれ詳しく解説している情報をご覧ください。
(良い子はSHARPとか入れちゃだめだぞ!)
キーマップの紹介
QMKファームウエアにはキーマップをカスタマイズする機能があります。
これを使って任意に変更することが出来ますが、これが便利!
私が普段使っているキーマップを紹介します。

レイヤー0
PCモードのデフォルト時のマップ。
CompactXVIのキーボードはFNを併用することで7キー以下をテンキーにすることができますが、どうにもそれが馴染めません。
無理を言って右パレット部をテンキーとしても使えるようにレイヤーを追加していただきました。
右から2番め上から2番めのTG(1)を押すと、右パレットがテンキーモードになるように設定しています。

レイヤー1
テンキーモード中のマップ。
アクティブにするとひらがなキーのLEDが青く光るぞっ!
▽の一つ前のレイヤーと同じ、という意味。
テンキーモード中でもDELや方向キーを使いたくなる事があるため、OPT.2を押している間だけテンキーモードを解除するようにしています。

レイヤー2
X68000モード時のキーマップ。
キーコードはZ用キーボードのものと合わせていますが、LEDの制御については対応予定なし。

レイヤー3
CompactXVIのキーボードにはテンキーがありませんが、NumLockを押している間は上記のキーがテンキーになりますが、当然ながらCompyXでも踏襲しています。
コミュニティ
CompyXのREMAP、ファームウエアの更新 各種ディスカッションは、Discordの「X68KBBS」さんの CompyXチャンネルにて行っております。 時よりポロリもありますので、よろしければ、そちらへの参加をご検討ください。
余は満足じゃ!
CompyXはとにかく打鍵感が気持ち良いっす!
今回利用しているキースイッチはツインタワー版と似たものとして、仲良しの「みゆ🌹ฅ^•ω•^ฅ(@arith_rose)さん」にチョイスしていただきました。
このキースイッチ、ガスケット固定の効果と相まって打ち心地はツインタワー、タイプ時の手応えや響きは断然上質なものに仕上がりました。
大人向けのX68000キーボードの誕生といった感じです。
あとがき
今回の制作は、私の持つCADスキルでは実現できないものが多かったのですが、それらを克服するための良い機会となりました。(レベル3から5に上がった的な)
工作スキルは、LED対応キーキャップを作るときに、複数のパーツのつなぎ目を極力消すための手法など、得るものが多く、楽しかったです。
このような機会を与えていただいたkatsuemonさんに、改めてお礼を申し上げます。
よく考えたら、X68000グッズはマウス意外実用品として作ることができてしまったぞ。。。
おしまい